もう一つの解釈は、意図的というもの。1865年は、リンカーンが4月14日に銃撃され、翌15日に死亡している。つまり、この時期はいろいろ立て込んでいるのである。ダンヴィル鉄道の一職員に過ぎず、飢えをしのいで冬を過ごしたヴァージル・ケインには、正確な情報が手に入らず、リッチモンド陥落の正確な日も分かっていないとしたら、とりあえず彼が「
By May the 10th / 5月10
までには」と曖昧表現するのも不自然ではないだろう。
ともあれ、ジョーン・バエズなどが「書いてなかったから」と言って、異なる歌詞を用いた理由のひとつは、もしかしたらこの日付問題を避ける為だったかもしれない。
面白いことに、曖昧どころか、「本当に日付が誤っている」カバーが存在する。ジェリー・ガルシアによる、このバージョン。(ピアノは、ニッキー・ホプキンス!)
さすが、ジェリー・ガルシア。ものすごく味わい深く、格好良い。だが、ばっちり
ON May 10th と歌っており、これだと「5月10日にリッチモンドが陥落した」になってしまう。
まぁ、結局はあまり細部にこだわりすぎる必要もないし、この曲の素晴らしさは細部を超越している。それでも、歴史好きとしては、ちょっと気になる曲ではある。
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