ビートルズで英語を学ぼう
2010-11-12


私が俄かに断捨離なぞを始めてみたところ、今年の新語・流行語大賞の候補(60語)のうちのひとつに、「断捨離」が選ばれたという話を聞いた。どの程度の認知度なのかは知らないが、楽しく断捨離をやっている(つもりの)身としては、少し嬉しい。かといって、「ブームに乗って馬鹿をやっている」という印象もなくはないが。
 とにかく、私の断捨離は、書籍にまで及ぶこととなった。本もCDと同様で、無駄などないと思っていたのだが、それが意外とそうでもない。買っては見たものの、それほど熱心なファンでもなさそうな本はけっこうある。それらがまた読みたくなったら、また入手すれば良いと考えると、意外と断捨離対象になる。
 私は本で言うと何よりも司馬遼太郎が好きで、一番好きな「坂の上の雲」などは、今読み返しているのが七回目だったりする(テレビドラマに文句をつけるための確認作業)。「街道をゆく」なども何度も読み返し得るだろう。その一方で、たとえば「義経」や、「空海の風景」などは一度読めば十分だ。前者はさすがに意地が悪すぎる(その上、最後の一文で凄い逃げを打っている)。後者は文章が終始不自由な空気に縛られており、なおかつ最澄がかわいそうで読んでいられない。
 とにかく、今まで後生大事に持っていた本もかなり、処分することにした。

 そんな断捨離作業中に、懐かしい本が出てきた。林育男著,「ビートルズで英語を学ぼう」である。講談社文庫で、340円。おそらく、私がビートルズファンになったばかりの、13歳くらいで買った本だろう。当時はあまり身の周りにビートルズに関する情報がなくて、せめてもの本として購入したような覚えがある。中学生だったから、英語を頑張ろうと思ったかどうか、その点は自信がない。

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 タイトルのとおり、ビートルズの歌詞を題材にして英語を学ぼうというコンセプト。面白いのは、その手法が、中学,高校で習う英語に沿っている点である。主部,述部,5文型,名詞,動詞,時制,助動詞,仮定法,関係詞などなど、いかにもな日本の「学校英語」の例文に、ビートルズの歌詞が用いられているというわけだ。
 さらに、ところどころで筆者によるビートルズ解説などもある。初版が1984年とあって、情報はやや古めかしいのだが、なかなか面白い。  さらに、可愛い挿絵にまじって、ビートルズの写真などもけっこう入っている。私がこの本を購入した本当の目的は、きっとこれだろう。ある一ページには、四角い形に、カッターで切り抜いた跡がある。これはおそらく、このページにあった写真を失敬したのだと思われる。大きさからして、あきらかに「カセットテープ」のケースに差し込んで、オリジナルカセットテープを作ったに違いない。初々しい時代もあったものだ。
 この本は、断捨離せずに、もう一度読んで、大事に保管することにする。

 無論、ビートルズで英語を勉強しようというコンセプトも面白いが、一番印象的だったのは、あとがきだ。そこには、「学校英語を軽視するな」とある。
 「英語が出来ない原因を、『学校英語が役立たずだからだ』とするのは、負け惜しみだ」と言うのだ。中・高・大学で英語を勉強しても満足に外国人と会話もできないのは、「単に本気で勉強してこなかっただけ」と、ばっさり切り捨てている。
 「学校英語」も、「実用英語」もありはしない。必要なのは、本人の強い意志(と、努力)である。学校で英語を習ったのなら、それを一生懸命勉強し、ビートルズを題材にするような工夫と熱意があれば、英語は出来る ― と言う訳だ。

 この主張に関しては、おそらく色々な意見が出てくるだろう。著者のような主張は、「英語ができるからそういう事言うんだよ」という反発も簡単に予想される。

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[Rock 'n' Roll]

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