2011-08-21
私のブリティッシュ・コメディ好きは、ビートルズの映画などを見るにつけて芽生えてきたとは思うが、なんと言っても決定打になったのは、モンティ・パイソンである。
そのモンティ・パイソンにも色々な作品があるが、一番面白いのは、やはりテレビシリーズ,[Monty Python's Flying Circus]だと思う。中でも第1シリーズと、第2シリーズの出来は群を抜いている。私は最初に音声は英語,日本語字幕でなれてしまったので、日本語吹き替えは苦手にしている。
第2シリーズ,エピソード11も、好きなスケッチ(コント)が詰まっているのだが、"How Not to be Seen" という作品がある。「身を隠す方法」。親切な政府広報番組として、「身を隠す方法」が伝授されるのだが、実際は「身を隠さないと消されます」という理不尽な話である。
最初は「お立ち下さい」と言われた庶民が素直に立ち上がると、狙撃される。学習した庶民、身を隠すが容赦なく爆破で消される。行き先を告げずにバカンスに出かけても、隣人(ガンビー)の密告により、消される。密告したガンビーも消される。家も、町も、国も!…
その模様を伝えたテレビ番組は、三輪車で大陸横断をこころみる間抜けそうなおじさんの話題を伝えると、サッカー選手へのインタビューに移る。このサッカー選手、身を隠していないと消されるということを学習しているので、見事に書類ケースに隠れた。しかし、「声は聞こえますよ」で、容赦なく爆破。
最後に、音楽をお送りしてお別れです。曲名は、"Yummy Yummy Yummy, I've got love in my tummy" それを歌うバンドも学習しているので…?!
消されてなる物かと、全員箱に隠れているのだが、どうせ彼らも爆破される運命ではないだろうか…?
このふざけた楽曲は、正式なタイトルは "Yummy Yummy Yummy"。演奏しているのはアメリカのバブルガム・ポップ・グループ、オハイオ・エキスプレス。この曲は1968年に発表された彼らの代表曲だ。
これぞ、「ザ・バブルガム・ポップ」と言うべきだろうか。軽くて親しみやすく、悪く言えば安っぽい。アホっぽいボーカルもなかなか良いが、意外とコーラスの作りなどは凝っていて良い。
バブルガム・ポップスというのは、ビートルズが活動後半にコンセプトアルバムなるものを打ち出したり、ロックそのものが多様化してプログレッシブ・ロックなど、難解な物が出るに至って、それに対する反動として発生したそうだ。その一方で、ブリティッシュ・インベイジョンに対抗するために、実力よりも(表面的な)人気取りを最初から意図して作り上げたポップ・グループという意味もあり、プログレ発生以前からモンキーズのような存在も有名だった。
無論、私の好きなジャンルにバブルガム・ポップというものは入っていないが、これはこれで音楽の存在として良いと思う。"Yummy Yummy Yummy" だって聴いたところイカした曲だと思うし、おそらく「時代を超えた良さ」なるものも備えているだろう。モンキーズに至っては、未だに頻繁に耳にする。
人気先行で「作り上げる」にしても、音楽そのものの質の基本価値観レベルが高ければ、それなりの物ができあがるという好例だろう。今はやっていそうな音を適当に連ねただけの、いい加減なポップスだったら、それほどの評価は受けないだろうし、何十年後も「良い曲」として受け取られることも無いだろう。
もっとも、オハイオ・エキスプレスに音楽的実力が底力として備わっていたわけではないようで、そこはさすがに「バブルガム・ポップス」の範囲にとどまっている。"Chewy Chewy" という曲もあるそうで、タイトルも同じような物なら、曲そのものもだいたい同じような物。日本のザ・タイガースもカバーしたことがあるそうだ。
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