Ravi Shankar
2012-12-12



 その結果、彼は素晴らしい音楽世界を展開し、多くの友人を得た上に、多くの尊敬を集めた。ジョージとの友情は言うに及ばず、「コンサート・フォー・ジョージ」での、エリック・クラプトンの表現を借りるなら、「ぼくらのヒーロー」になった。エリックにとっては、単に「プレイヤー」としてのヒーローではなく、偉大な存在としての「ヒーロー」に違いない。
 今、多くのミュージシャンたちが、「ヒーロー」の死去を悲しんでいることだろう。
 私は20世紀を象徴する音楽的存在は、ジョン・ケージ、ビートルズ、そしてラヴィ・シャンカールだと思っている。この三者が、すべて姿を消した。

 2001年、ジョージが58歳で亡くなったとき、その最期を看取った人々の中に、当時81歳だったラヴィが居た。彼の存在が、オリヴィアやダーニにとって、どれほど心強かったことだろう。何と言っても、ジョージ自身が、病との戦いの日々を、ラヴィの存在でどれほど救われたことだろうか。
 ラヴィは、親子ほども年の離れた親友であり、弟子であり、まさに魂における息子であったジョージを失い、どれほど悲しんだだろうか。彼らの深い友情に、改めて思いを馳せずにはいられない。
 「コンサート・フォー・ジョージ」の冒頭のラヴィの言葉が思い出される。

「みなさん、私は今夜ここに、ジョージの存在を強く感じています。これほどたくさん、彼を愛した人々が集っているのです、ジョージも、きっと居ます ― 」

 私自身は特に宗教的でもないし、霊魂の存在について特にどうという考えもない。ただ、あのときのラヴィの言葉だけは、本当だと信じている。

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