Will Lee's Story
2014-05-28


「大人のロック!」という雑誌がある。ダサいタイトルだが、とにかく「大人のロック!」だそうだ。しかし、ホームページでバックナンバーを見る限り、看板に偽りありで、実際には「ほぼビートルズ」。ほぼビートルズで、時々ゼッペリンとか、時々クィーンとか。
 「大人のロック!」というくらいなら、バーズや、ザ・バンドや、TP&HBくらいあっても良さそうだが。
 そもそもこの雑誌、創刊当時にちらりと立ち読みをして、内容の怪しさにおどろいたことがある。バングラデシュ救済コンサートがなぜか「カンボジア救済」だったり、ジェイコブ・ディランがボブ・ディランの「ひとり息子」だったり。

 それはともかく、このたび、この「大人のロック!」特別編集版のムックとして、「ジョージ・ハリスン 至福のサウンド」なるものが発売された。

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 一応、購入。
 この手のムックの場合、よく冒頭にインタビュー記事などがあるが、この本も例外ではない。これって要らないと思う。
 それ以外は、ジョージのレコーディングやライブの情報など、かなり詳細に網羅しているようで、資料的になかなか良いと思う。

 特に目新しい情報、ビックリするような情報はなかったのだが、一つ長年の疑問が解けた。ゲイリー・ムーアと、ジョージはどういう縁で友人になったのかということ。
これまで、その問いに答えた人がおらず、今年のCRTジョージ祭りで、本秀康さんも知らないと言っていた。
 この本によると、ゲイリー・ムーアはジョージと同じヘンリー・オン・テムズの住人で、その縁での交友なのだと言う。

 確認してみると、確かにご近所だった。ただしゲイリー・ムーアは、正確にはヘンリー・オン・テムズではなく、その6キロほど南の集落シップレイクの住人である。鉄道の駅一つ分離れている。
 ベーシストのウィル・リーが、インタビューでこんな話をしていた。

 ぼくはイングランドで、ゲイリー・ムーアとアルバムを作っていたことがある。録音していたスタジオは、ジョージ・ハリスンの家フライアー・パーク・オン・ヘンリー・オン・テムズにとても近かった。
 ちょうどウィンブルドン選手権の時期で、休み時間には大きなテレビで試合を見ていた。ある日の夕暮れ、ぼくらはロジャー・ウォータース所有の大きなお屋敷内のスタジオの食堂で、夕食をとっていた。すると、ふたつの人影がこちらに近づいてくるのが窓越しに見えた。よくよく見ると、それはジョージ・ハリスンと、ジョン・マッケンローだった。
ぼくらは一日中、ウィンブルドンのマッケンローを見ていたんだ。その彼が目の前にいるもんだから、もうびっくりさ。一体、ここで何やってるんだ?
 二人は、ぼくらが町に居ると聞いて、ジャムでもやろうと、やって来たんだ。


 ジョージ、マッケンローともお友達だったのか…。相変わらずだなぁ。
 このウィル・リーの話に出てくる「ロジャー・ウォータース所有のお屋敷」というのは、ピンク・フロイドの人の家のことだろうか。おそらく、シップレイクに住んでいるゲイリー・ムーアにとって、便利なところにあったのだろう。デイヴィッド・ギルモアもテムズ川沿いにスタジオを持っている(ボートハウス?)が、これとは別だろう。
 ちなみに、ウィル・リーの話は、さらに続く。

 そんな訳で、ジョージはぼくらを彼の家に招待してくれたり、いろいろした。
 1年後のある日、ぼくの留守電にメッセージが入っていた。
「やぁ、ウィル。ジョージ・ハリスンだ。例のテレビ番組からきみをかっさらって、アルバート・ホールで一晩、一緒にプレイしてもらいたいんだ。電話して。」

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[TP&HB]
[ウィルベリー兄弟]

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