Tom Petty: Somewhere You Feel Free - The Making of Wildflowers
2021-11-14


「2020年初頭、トム・ペティ・アーカイブから、16ミリ・フィルムのコレクションが発見された。これは1993年から1995年にかけて、ペティの長年のフィルモグラファーを務めたマーティン・アトキンズによるもので、ペティの [Wildflowers] アルバムをレコーディングと、それに続くツアーをとらえている。その多くが初公開である。」

 これは、このたび公開された音楽ドキュメンタリー映画[Tom Petty: Somewhere You Feel Free - The Making of Wildflowers] の冒頭に出てくる字幕の内容である。
 映画はこの16ミリフィルムを中心に、そのほかの既存の映像や、新しく撮影したリック・ルービン,マイク・キャンベル,ベンモント・テンチ,スティーヴ・フェローニなどのコメントを追加し、編集した物だ。
 トム・ペティのファンはぜひとも、YouTubeで鑑賞して欲しい。英語の字幕もあるが、音楽と映像を楽しむだけでも良いだろう。



 印象的だったことが、いくつかある。
 まずトムさんがとんでもないチェーン・スモーカーだったこと!時代もあるが、あれは吸い過ぎでしょう?!まじで、ピアノがある場所でタバコとか、あり得ないんですけど?!あなたたちの大事なギターにも悪影響だと思うなぁ。しかもベンモントも吸ってるし。調律師さんに超怒られるよ。
 でも困るのが、そんな嫌煙家の私でも、トムさんたちがタバコを吸う姿が、妙に格好良いってこと。あれはなんなんだろう?ちょっとした「隙」みたいなものかなぁ。

 いままでも断片的に見たことがある、トムさんと、ベンモントによる "Wildflowers" の演奏シーン。とにかくベンモントのピアノが美しくて、この人は本当に天才だなぁと思うのだが、今回印象的だったのは、ピアノがボールドウィンだったこと。
 ベンモントのピアノというと、ヤマハか、スタインウェイだが、このアルバムのスタジオにあったのは、ボールドウィンだったのだ。

 リック・ルービンがハウイをベーシストとして用いたがらなかった話も、興味深かった。スタンはいない、マイクとベンモントはトムさんのレイドバック・モードに完全にシフトしている。しかし、ハウイのベースはハートブレイカーズそのもの過ぎたのだろう。その話になったとき、マイクが無言で春日みたいに胸を張って「おれおれ」サインをしているのが可笑しかった。
 そうは言っても、トムさんはハウイの声だけは絶対に外せなかった。

 そして、若きスティーヴ・フェローニ!トムさんやマイクよりも実際には年上だが、茶目っぽくて少年の輝きがあって、うわぁ、若いって感じだった。何人ものドラマーが来ては、トムさんにダメだしをされたけど、スティーヴが叩いたら、トムさんとマイクが顔を見合わせて、「こいつだ!」――と、なる。
 もっとも、最初に「良いドラマーがいる」と言ってスティーヴを持ち出したのはマイクである。どうせなら、そうなる経緯である、ジョージの話もしてくれれば良かったのに。ジョージ・ファン的な贅沢である。

 ジョージと言えば!一番の収穫は、ウクレレを弾くトムさんの映像である。トムさん、ウクレレ好きを公言している割に、その写真、映像はいままでほとんどなかったと思うのだが、今回は "I Won't Back Down" をウクレレで面白おかしく歌って、ジョージ・ドゥラコウリアスが馬鹿ウケ(泣くほど)していた。

 ちょっと謎だったのが、マイクが「リックと、俺と、トムがプロデューサーで、ベンは…貢献者 contributor で…」と言ったら、ベンモントが "Layabout" と言ったところ。マイクもそれを受けて、「そう Layabout で…」と何でも無かったように話を進めたので、思わず、そして唯一このときだけ、動画を停止して辞書を引いた。
 layabout:名詞≪略式≫ 怠け者,不精者;浮浪者

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[TP&HB]

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