Get Back (Part 3)
2021-12-22


[Get Back] セッションもあと四日を残すのみ。最新のライブ案はビルの屋上というところから、パート3が始まる。
 最初に、リンゴが "Octopus's Garden" を披露して、ジョージがアドバイスする可愛いシーンから始まる。ジョージの優しい表情が最高。この曲のクレジットを確認したが、リンゴだけになっている。実際はジョージがかなりの部分つくっている。
 良い感じに和んだ頃に、例の非音楽的な人の奇声が早くも響く。もちろんイヤホンを外してやりすごす。

 紫のゴージャスなブラウスに、ピンクのピンストライプスーツのジョージが、きまっている。面白いのは、ギタリスト(ジョージ)がピアニスト(ビリー・プレストン)にコードを訊くところだ。私の感覚では、クラシックのピアニストはコードに弱く、ギタリストが強い。私とウクレレの先生(ギタリスト)のやりとりの面白さは、その辺りなのだが。
 ともあれ、ジョージが昨晩出来てきた曲 "Old brown shoe" を作る過程が面白い。ジョンの作曲アドバイスによると、「始めたら最後まで作れ」とのこと。(本人が出来ているかどうかは別らしい。)ジョージがピアノを弾いている間に、ポールがジョージのギター(ローズウッドのテレキャスター)を弾いているのが驚き。右利き用なのに!ポールは本当に器用だ。
 パート1の頃から思っていたのだが、こういう音楽分野の人は、アンプだのマイクだの、PA だの、とにかく電子機器に時間と手間を取られすぎている。私はピアノさえあれば蓋を開けて弾くだけの人なので、なんて面倒くさいのだろうと思う。

 お気に入りのカール・パーキンスを演奏したり、自分たちの古い曲を演奏したり。"Let it be", "The long and winding road", "I've got a feeling", "Don't let me down" , "Get back" などを合わせていくうちに、ジョージの新曲を覚えようということになり、"Something" が登場する。ジョージは歌詞に苦労しているようで、ここで例のジョンによる「カリフラワーとかにしとけ」というアドバイスがでてくる。
 ジョージが唐突に、黒い革靴が欲しいと言い出すのも面白い。たしか、パート2だったか、急に蝶ネクタイが欲しいとか言い出していた。むかし読んだ、アリステア・テイラーの本によると、ジョージは無茶は言わないし、手の掛からないナイス・ガイなのだが、こういう他愛もないリクエストが時々あるらしい。
 ジョージのピンクのシャツも素敵だが、リンゴの緑のシャツに、明るい緑のスーツも、凄く鮮やかで似合っている。

 不穏なアラン・クラインの話題に続き、それで、じゃあライブはやるの?という相談になる。ポールが煮え切らない。ジョンも煮え切らない。そもそも、このセッションってどこを目指してたんだっけ?みたいな「そもそも論」になってしまい、聞いているといらついてくる。
 「要するに煙突のに上ることを期待してるの?」とマイケル・リンジー・ホッグに尋ねるジョージ。内容よりも…その、白いセーター似合う!かわいい!
「やれというなら、やるよ。バンドなんだから。屋上ではやりたくないけど」
 いやぁ〜!この長い映画の中で一番ビジュアル的に輝いているジョージではないだろうか?
 リンゴは「やりたい」というし、ジョンも同意に回る。ポールが渋る。こっちは、結局あの歴史的な「ルーフ・トップ・コンサート」が行われた事実を歴史として知っているので、この逡巡にはイライラするが、よく考えると躊躇しているポールの方がまともなのかも知れない。町中で、昼日中にロックバンドが屋上でロックコンサート?予告もなしに?そりゃ警察も出動するだろう…


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[Rock 'n' Roll]

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