ファビアン
2009-10-24


ビートルズのMONOボックス再プレスのニュースが流れた日、アメリカから注文してあったMONOボックスが発送された模様。まぁ、日本版を買うよりも1万数千円安いのだから、良い買い方をしたのだろうか。
 今日は、いよいよウィルベリーズ本の注文受付開始を知らせてもらい、さっそく注文した。お値段的には、決して一般向けの商品ではないが、ウィルベリーズともなると、私にとっては万難を排し、お弁当作りにいそしむだけの理由がある。楽しみなのは、何といってもお宝写真。
 ジェネシスの本は届くまでにこれたやたらと時間がかかるので、ゆっくり待つことにする。

 「カントム」の翻訳をしていて、[The Last DJ] のところで名前が登場したファビアン。彼について、どういうわけか私は何者かを確認することができないでいた。ウィキペディアにも載っているのに、どうしたことやら。ともあれ、ご丁寧に教えていただいたので、さっそく確認してみることにした。

 本名、Fabiano Anthony Forte 。1943年アメリカはペンシルベニア州生まれ。ジョージと同い年だ。
 15歳の時、その美男子ぶりを買われ、チャンセラー・レコーズからデビューした。彼自身はまさか歌手だのレコードデビューだのは考えていなかったらしく、まさしく周りの大人が作り上げたアイドルだった。
 1958年にデビューし、数曲のビッグ・ヒットを飛ばしたものの、60年代に入るころには、音楽的キャリアは「終わっていた」と表現されている。裏金に関するスキャンダルもあったようだが、時代が時代なだけに、容姿に、適当な曲をくっつけただけのアイドルが、生き残れる状況ではなかっただろう。



 トムさんは、「カントム」で「売れる需要に合わせただけの、作られたどうしょうもないアイドル」のたとえとして、「ファビアン並み!ファビアンより悪いか。」などと言っている。ファビアン、踏んだり蹴ったりである。
 たしかに、トムさんの好みではないし、ちょっと痒い感じがするので、ロックファンには向かないだろう。私も興味がない。しかし、デビューのきっかけは、病気で働けない父親の代わりに家族を養うためという、泣ける動機らしい。
 ファビアン自身がどうなりたかったのかはともかく、彼はエンターテイメント経済の凄まじい渦潮に巻き込まれた言って良い。彼をモデルにしたらしき映画もあるそうで、表現傾向には暴露じみたところがあり、ファビアンは訴訟に持ち込んだ。

 「作られたアイドル」というものの需要があるかぎり、この手の「歌手」は存在し続けるだろうし、実際に私たちは毎日テレビをつければそういうアイドルたちを見ることが出来る。別に音楽的な実力を求めなければ、それなりに良いエンターテインメントだろう。私も音楽はともかくとして、そのほかの分野でけっこう好きな「アイドル」が皆無ではない。
 ただ、トムさんの言うとおり、アイドル作りに夢中で、本当の実力の持ち主が日の目を見ないはもったいない。これはポップスのみならず、クラシックなどでも同じことが言える。
 もっとも、人間の耳というのは大したもので、本当に音楽を聞こうと思えば、簡単に「実力」が聞き分けられるようになる。入口が「作られたアイドル」でも、それはそれで「悪」ではなさそうだ。
[TP&HB]
[その他色々音楽]

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