アーサー・コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ・シリーズ」は、映画草創期から何種類もの映像化が試みられてきた。特にここ10年ほど、かなり頻繁に製作されており、ファンである私にはうれしい。
原作が「聖典(キャノン)」などと言われ、それが視聴側の基本知識となるのだが、最近のホームズ作品は、このキャノンをいかに活かして魅力的な作品にするかに重点を置きつつ、冒険を試みるものが多い。特に、主役であるホームズとワトスンのキャラクター造形が、その作品の性格の大きな割合を占めることになる。
ホームズという探偵は、どの作品でも「天才だが変人で、社会不適応者。部屋が汚く、暇になると室内で銃を撃ちまくる。相棒のデートは妨害する」…という辺りでほぼ定まっている。一方、ワトスンの描き方に関しては、「美男子で社会人として総合的にはホームズより優秀で、しかもホームズに対して態度が厳しく、射撃の腕が良い」…というのが最近の傾向だ。
英国BBCが去年製作した「シャーロック SHERLOCK」は、舞台を完全に21世紀に移し(携帯,PCなどを使いまくる)、その中でキャノンのネタをちりばめ、キャラクター造形も秀逸な作品として大ヒットした。スペシャルドラマとして3話しか製作されなかったのに、最後は典型的なクリフハンガーで終わってしまったのだから、製作側にもかなり自信があったのだろう。日本でも先日、NHKで放映されたので見たのだが、確かにここ数年のホームズものでは一番面白かった。ただし、エピソードごとの面白さにには差があるのだが。
(以下は、「シャーロック」をネタバレした上での記事なので、読みたくない方は飛ばしてください。)
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「シャーロック」を一番象徴しているのは、主役が「ホームズとワトスン」ではなく、「シャーロックとジョン」であるところ。当世英国ドラマのお約束、行く先々でカップルと間違えられる。そのうち面倒になって否定もしなくなる。
シャーロックはほぼ原作に近いタイプの変人天才。演じるは、ベネディクト・カンバーバッチ。かなり怪しい男ではあるが、実は天真爛漫で、傍若無人。「しゃべるな、呼吸するな、顔出すな!ベーカー街のIQが下がる!」
ジョンを演じるのは、数々のコメディ作品でおなじみのマーティン・フリーマンで、彼なら「ホンワカ癒し系」かと思ったが、実際はハンサムで影があり、大胆不敵で、行動力のあるジョンだった。「ホームズもの」としてはかなり冒険しているが、このジョンのキャラクターは好きだ。
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さて、21世紀を舞台とする当作品でも、敵キャラクターとして、モリアーティが登場する。エピソード1,2までは、謎の黒幕 "M"。
エピソード3で最初に彼が登場したときは、一瞬でシャーロックに「ゲイ」判定される、ただの雑魚キャラだったのだが、次に登場したときは「なんとその正体はモリアーティ!」…なるほど。確かに意表をついている。「ゲイのふりまでして…」などと言っているが、いっそのこと本当にゲイでも良いと思うけど。
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このジェイムズ(ジム)・モリアーティを演じていたのは、アンドリュー・スコット。初めて見る役者だが、イッてる容姿と演技でかなり強烈だった。そこで、スコットがこれまで演じたキャラクターをチェックしてみると…
Paul McCartney ([Lennon Naked] 2010 BBC)
ポールか!ポールなのか!!
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