2014-02-03
去年公開された映画、「サウンド・シティ」がテレビで放映されたので、録画してやっと見た。
LAにあった伝説の録音スタジオ、サウンド・シティ。その始まりから、当時の最新コンソール(製作者の名前を取って「ニーヴ」と呼ばれる)の導入、そしてヒット作が誕生し、数々の伝説的なアーチストたちがやってくる ― しかしデジタル時代の到来と共に、アナログの人間臭いサウンドにこだわるサウンド・シティも消えゆく運命にあるという、ドキュメンタリーだ。
監督はデイヴ・グロール。彼が愛する数々の音楽、彼が携わった録音などを、記録している。
正直なところ、作品は60分で良かったと思う。実際には107分ある。
最初の一時間は、たしかにサウンド・シティの素晴らしいドキュメンタリーなのだが、そのあとで映画としての焦点がぶれて、伝説のコンソール「ニーヴ」を買い取り、スタジオに据え付けたデイヴ・グロールを中心とした録音風景に移ってしまった。
後半はこれはこれで面白いのかも知れないが(私は特に好きなアーチストがいなかったのでそれほどでもない)、緊張感を保てなくなってしまった。ドキュメンタリー映画としては、サウンド・シティが閉鎖して終わる60分だったら、名作。ミュージック・ビデオの一種として、後半の50分は別物。
この「別物」である録音風景も、前半に登場するスティーヴィー・ニックスやリック・スプリングフィールドはそれなりに説得力があるが、ポール・マッカートニーの登場はやや唐突。もちろん、デイヴ・グロールは大ファンなのだろうが、取って付けた感が否めない。
デイヴ・グロールがこの映画を制作するきっかけが、「ニーヴ」をめぐる作品を作りたいという気持ちだったというのだから、彼にとって後半こそが不可欠なのだろう。しかし、誰かも言っていたとおり、道具は飽くまでも道具である。いかにアナログ録音時代の至宝とは言っても、コンソールひとつでドキュメンタリー映画1本は無理がある。
だからこそ、サウンド・シティの名を冠し、その歴史をたどるドキュメンタリー映画にしたのだから、この線で90分作りこめばよかったのではないだろうか。
個人的な注目点は、もちろんトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ。この手の作品に登場するのはたいていトムさんひとりだが、この映画にはマイク・キャンベルとベンモント・テンチも登場する。制作側のハートブレイカーズに対する尊敬の気持ちが出ている。
サード・アルバム [Damn the Torpedoes] を制作する彼らの若く、初々しいこと!スタジオ作業に根を詰めすぎ、人間関係まで緊張感を強いられる辛さを今だから余裕をもって語ることができる。
最終的には、「一番大事なのは、人とのつながり」と、トムさんが若い人たちへのアドバイスのように語るのが印象的だった。ストレスのたまる作業や、それによる仲違いで、仲良し少年バンドがいくつも解散していった。そんな中で、40年も続けているハートブレイカーズは ― 一部のメンバーチェンジがあったとしても ― 最終的に一番大事なものを、守り続けたことの証明だろう。
どういうわけか、トムさん、マイク、ベンモント、三人そろって帽子姿。トムさんが若いころ、トナカイ柄のセーターを着ていたのが可愛かった。
スタジオスタッフの、トムさんの印象も面白かった。「控え目」「冷静」 ― おそらく、ほかの多くのバンドのフロント・マンとは違う印象だったのだろう。
TP&HBのほかにも、リンジー・バッキンガムに、スティーヴィー・ニックス、フリートウッド・マック、リック・スプリングフィールドが登場するが、彼らが全員好きな人に心当たりがあり、その人にはたまらないのだろうなと思った。
彼らもまた若く、初々しく、みずみずしい音楽作品を作り出していった様子が輝いていた。
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