Benmont Tench talks about his first ever solo album
2014-06-21


アップライトピアノの場合、真ん中のペダルの有無はモデルによって違うが、ベンモントのU7はある方の仕様だ。真ん中のミュートペダルは、彼も言っているとおり弦とハンマーの間にフェルトを挟んで、音を押さえる仕掛けになっており、しかもロックすることができる。ちなみに、左ペダルのミュート機能は、ハンマーと弦の距離を短くして、強く叩けないようにする仕掛け。
 グランドの左ペダルはソフトペダルと言い、鍵盤ごと僅かに横にスライドして、ハンマーのシンで弦を叩けなくすることによって、音を小さくするようになっている。
 ベンモントが、このミュート,ソフトペダルの機能が好きだというのには驚いてしまった。私を含め、ほとんどのクラシック・ピアニストはこのミュート,ソフトペダルが好きではないと思う。最近、音大仲間にも聞いたのだが、やはり音を小さくするのは指の技術であり、ペダルには極力頼らないようにしているという。
 ペダルで音を小さくすると、音がこもる、音が抜けない、鍵盤を叩いたときの違和感がするなどで、イライラするのだ。一方で、ベンモントのようにバンドのために演奏をするピアニストに言わせると、良い機能だそうだ。なるほど。
 グランドピアについては、スタインウェイのBと言っている。これはサロン,スタジオ、小規模なリサイタルホール向けのモデルだ。
 グランドとアップライトでは音もタッチも違うと言うが、これは同感。アップライトは僅かだが、鍵盤の反応が遅いため、早く弾くと少し違和感を覚える。まぁ、僅かな差なので、大した事ではないのだが。

 家からスタジオに持っていったら、調子が悪くなってしまったというのには、笑った。ピアノは基本的に、移動させることを前提としていない楽器なので、そういう事もあるだろう。いちいち調律も必要だし、外に出すと天候によってはハンマーやダンパーがダメになる。ピアニストの宿命として、その場にあるピアノで自分なりに最高の演奏をするしかない。
 プロのピアニストによっては、自分の楽器を世界中にもっていくそうだが、もの凄い経費だろう。ハートブレイカーズはどうなのだろうか。いちいち、ベンモントご自慢のスタインウェイを持っていくのだろうか。そのたびに調律というのも、面倒だと思うのだが。

 インタビューの中で、40年間の活動について尋ねられ、こう答えているのが印象的だった。

 ぼくは、自分のお気に入りのバンドに所属している。誰も、ビートルズや、ローリング・ストーンズのメンバーには、なりたくてもなれないだろう。でも正直言って、ぼくはなりたいとも思わないんだ。ぼくは、ぼくとって「正しい」バンドにいるのだから。このことが、ぼくにインスパイアーをもたらしている。どうしようもないくらい、ぼくはハートブレイカーズなのさ!

 最後に、ロック・キーボーディストを目指す人へのアドバイスを残しているが、これぞまさにロック界にその人あり、凄腕キーボーディスト、最高のハートブレイカー,ベンモント・テンチ。素晴らしいコメントをしている。こんなベンモントだからこそ、トムさんも、マイクも、そして私たちファンも、ベンモントが大好きなのだ。

 アドバイスをするとしたら、よく聞くことだね。ぼくの感性や、ぼくがどんな音楽からここまでたどり着いたかを知りたければ、ブッカー・T・ジョーンズや、ニッキー・ホプキンズ、ジェリー・リー・ルイス、プロフェッサー・ロングヘア、アレン・トゥーサンなどを良く聞くといい。
 それから、リンゴ・スターや、チャーリー・ワッツのようなドラマーもいいね。彼らは決して「ドラム・パート」をプレイしない。彼らはシンガーの歌をよく聞いて、その「歌」を演奏しているんだ。これが良い教訓だね。

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[TP&HB]

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