Yesterday (Film 2019)
2020-05-07


去年の映画 「イエスタデイ」を見た。(Amazon Prime レンタル)
 ビートルズが題材の映画なのに、どうしてもっと早く見なかったかと言うと、「ビートルズと言ったって、どうせレノン=マッカートニーのビートルズなんでしょ」と、勝手に拗ねていたからである。
 ごめんなさい、ちゃんとジョージ・ハリスンの楽曲入りのビートルズでした。ジョージ・ファンも楽しめます(そういうことは、もっと早く言ってくれなくちゃ…)。

 売れないミュージシャンのジャックは、突然世界中が停電したその瞬間、交通事故に遭う。意識を取り戻すと、この世からビートルズの存在が消滅しており、だれもその楽曲を知らない世界になっていた。
 そこでビートルズの楽曲を自分が作った物として披露。地元のスタジオでレコーディングしてローカルテレビに出演したところ、エド・シーラン(本人)の耳に入り、彼の前座を務めることになる。
 これを足がかりに、世界的なスターへと突き進むジャックだが、それは売れない頃からマネージャーとして支えてくれた幼なじみの女性,エリーとは異なる世界への道を意味していた…




 ビートルズの存在しない世界というアイディアが、秀逸なこの映画。ビートルズが、いかに偉大かを思い知らされる。当然音楽はどれも素晴らしい。
 ビートルズのカバー・バージョンが目白押しで、ライブ・シーンにも迫力があって良い。

 一方、コメディとしては今ひとつ。ラブストーリーという性格の方が強い。
 ビートルズ・ファンの私としては、もっと音楽作りを巡って右往左往してほしかったか。そういう意味では、最初に地元のスタジオで録音をした、ギャビンをもっと活躍させたら面白かったかも。
 もっと言ってしまえば、ラブストーリーよりも、私だったら男の友情物ににするな…

 それから、重要なことなのだが、この映画が面白いかどうかは、エド・シーランを知っているか、否かにかかっていると思う。私は彼については、その存在しか知らなかったので、面白みが半減したのではないだろうか。

 さて、「もしビートルズが存在していなかったら?」という議論である。
 映画では、ストーンズは存在しており、オエイシスは存在しないことになっている。
 だが、本当にビートルズが存在していなかったら、それどころではない。ストーンズは存在しただろうが、今日我々が知っているストーンズにはならないだろうし、オエイシスどころか、エド・シーランだって存在しなかっただろう。ロック・ポップはメジャーな存在ではなく、音楽産業自体がもっと小規模に違いない。
 そうなると、主人公ジャックのように、ギター片手にミュージシャンを夢見る若者もいなくなる。つまり、タイム・トラベルのパラドックスにはまってしまうのだ。

 むしろ、私は歴史運命論者である。細部はともかく、歴史は今日あるようになると考えている。
 もし、リバプールのジョン,ポール,ジョージ,リンゴのビートルズが出現しなくても、似たようなほかのバンドが作られ ―― バンド名は、ザ・ラトルズでも何でもいい ―― 彼らがビートルズと同じような音楽を作って、歴史に名を残しただろうと思う。

 少なくとも、私たちはビートルズのある世界に生きている。それはとても幸運なことだ。
[ウィルベリー兄弟]
[Rock 'n' Roll]

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